アレルギー性疾患について


 本来であれば、体に無害であるものに対して、免疫が過剰反応してしまい症状が出る病気をアレルギーと呼んでいます。アレルギーの原因となる物質をアレルゲン(抗原)と呼びます。

 

アレルゲンとなる物質


  アレルゲンとなる物質はタンパク質です。タンパク質はアミノ酸がたくさん集まってできています。生物の身体を構成するタンパク質は、およそ20種類のアミノ酸が40〜数1000個結合してできています。材料(アミノ酸)の種類が多く結合している数も様々なため、タンパク質はほぼ無限に種類があり複雑な構造を持っています。

 

 タンパク質が白血球(肥満細胞またはマクロファージ)に結合することで、炎症を起こす成分が白血球から放出され、赤み・かゆみ・下痢・嘔吐など様々なアレルギー症状が認められるようになります。白血球は特定の構造を持つタンパク質(アレルゲン)としか結合しないため、その特定のタンパク質と接触・摂取しない限りアレルギー症状は出ません。どのタンパク質がアレルゲンとなるかは、個々の動物によって異なります

 

食物アレルギー


 三大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)がありますが、糖質(でんぷん・砂糖)と脂質(脂肪・油)ではアレルギーは起こりません。糖質は、グルコースとフルクトースの2種類が結合して作られ、脂質は脂肪酸(リノール酸、オレイン酸など)が3つ結合した形で作られています。20種類のアミノ酸が40〜数1000個結合してできるタンパク質に比較すると糖質・脂質は構造のバリエーションが単純で、種類もずっと少ないものとなります。

 

 アレルゲンとなるタンパク質を含まない食事を摂ることがアレルギーを発症させないために必要となります。炭水化物としての穀物(米・小麦・トウモロコシ・豆・イモなど)であっても、タンパク源としての肉・魚・植物性タンパク(豆など)様々な種類のタンパク質を必ず含んでいるため、炭水化物とタンパク質をそれぞれ単一のものに限定して限定されたタンパク質を摂取することが、アレルゲン回避には有効です。

 精製されたコーンスターチがタンパク質を一切含まない炭水化物として知られています。また、動物の身体は植物よりも複雑な構造をしているため、より多くの種類のタンパク質で作られています。そのため肉や魚よりも植物性タンパクのほうが構造が簡単で種類が少ないためアレルギーが起こりにくいとも言われています。構造が複雑なタンパク質を分解し、単純な構造にした加水分解タンパクもよりアレルギーを起こしにくいことがわかっています。

 

 できるだけ少ない種類で構造が単純なタンパク質を含んでいるものを摂取することで、アレルギーを回避することができます。低アレルギー食としては以下の3種類が用意されています。

 

 ・単一の炭水化物源+単一のタンパク源で作られたフード・・・効果:弱め

 

 ・単一の炭水化物源+加水分解タンパクで作られたフード・・・効果:中

 

 ・精製コーンスターチ+加水分解タンパクで作られたフード・・・効果:大

 

 効果の弱いもので、症状が改善されない場合にはより効果の強いものに切り替えて症状の改善が認められるかを判断することになります。食事アレルギー性腸炎が診断されている場合には、効果大の食事に切り替えることが推奨されます。